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ミシン屋さん


今朝、ミシンで革を縫いながら、ふとこのミシンとの出会いを思い出していました。

もともと持っていた、ブラザーのコンピューターミシンが
よく壊れていて、何度も名古屋の本社に送って修理してもらっていました。
そのたびに1万5千円以上の修理代がかかったので
それも大変で困っていました。

ある時また壊れてしまい、修理に2週間かかると言われ
納品時期に間に合わず、焦って近所で治してくれそうなミシン屋さんを
探しました。

104で探し、家から車で10分位のお店に行ってみることにしました。
このミシン屋さんは、みかけはボロボロで、中は様々な材料がいっぱいあって
お世辞にも綺麗・・とはいえない店内なのですが
ところが、このご主人のミシンの修理の腕はすごかったのです。
(今日聞いたお話では関東で販売も一位だったそうで、ジューキの社長さんが
わざわざお礼にいらっしゃったそうです)

私のミシンをちょっとひっくり返して1・2分で治してしまいました。
そして部品のなかの何が古くて、もうあと1年くらいで
またここがだめになってくるんじゃないかと思うとか
色々なことをちゃんと見ていて教えてくれました。

代金は・・と聞いたら「千円でいいですよ」
私はいくらなんでも1万円はかかると思っていたので
本当にびっくりしてしまいました。
「そのかわり、もしもミシンを買うときがあったら、うちに来てね」
と言われたので
「はい。・・でも私の欲しいミシンはもう決まっているんです」と答えました。

私はそのころ、ららぽーとにできた工房に行って、一度帽子の作り方を
教えてもらったことがあるのですが、その時使ったミシンがとても使いやすくて
先生たちにも相談にのってもらい、もしも次にミシンを買うとしたら
何がいいと思うかを聞いていました。

その先生たちの意見は皆一緒で,その日そこで使ったジューキのミシンでした。
私も本当にいいミシンだ、と感じたし
プロの薦めるものも全員一緒ならばそれに決めた、と
紙にミシンの番号を書いていつもお財布に入れていたのです。

「何が欲しいの?」
それで私は、なんだかこんなことを言っては申し訳ないような気がしたのですが
お財布から紙を出して正直にそのミシンの番号を言うと
「あ、そのミシンは貴方の横にある、そのミシンですよ」
と言われました。
私は小さい丸椅子からひっくりかえりそうになりながら
右を見たら、そのミシンが横にいました。

ジューキのミシンなのですが、その時はまだ10月で
11月から中のモーターを日本で作らず海外に作らせるように
なってしまうとのこと。
同じ値段だけれど、絶対に日本製の方がいいということなどを
教えてくれました。
そして値段も本当に安くしてくれて、さらに私がものづくりをしていると
言ったら、お店で使っていたロックミシンまでプレゼントしてくれるというのです。

一応よく考えるため、家に帰りましたが
答えは自分の中ではすでに決まっていて
働いて貯めたお金を下ろして買うことにしました。

それからしばらくは、この素敵なミシンを使わずに
眺めて暮らしていたのですが(とりあえずはコンピューターミシンもあるので)
やっぱり飾っておいても仕方ないかな・・と
色々と縫ってみることにしました。

どんな厚さでもすいすい縫えるのは本当に信じられないほどです。
これはモーターが工業用のものを使用しているからです。

革も縫ってみたら、ミシンは全然平気で
なにくわぬ顔で最後まで走ってしまいました。
すごい~!なんて頼れるんだ~!!私はミシンに抱きついてしまいました。(笑)

そして革の手作りが増えたというわけなのです。
でも、これはたまたま・・なのです。
革が縫いたくて、それができるミシンを買ったわけではなくて
ミシンを買ったら革が縫えて、丁度使ってみたい素材だったので
使うようになってきた・・ということで
もしもこのミシンでなかったら、私の作品に革は登場しなかったと思います。
(ミシンが良くなかったら、手縫いとか、刺繍とかにいっちゃっていたかも・・??)
今はこのミシンは私の宝物で、大切な最高の相棒です。

そんなわけで、本当に不思議なご縁で
運命のミシンとめぐり会ったのでした。(続く)
by tukurokka | 2010-01-15 17:17