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重ね煮 2

娘は家から三分の公立中学に通っていました。
何の変哲もない田舎の中学でしたが、実はとんでもない中学で
全校あげて毎日歌の練習。
合唱コンクールやNHK杯、その他で毎年三位までをとってくるような学校でした。
勿論そこには大変な才能と実力を持った歳を重ねた音楽の先生がいました。

歌など全く興味もないような子も大勢いる、普通に小学校を卒業して
そのへんから集まった子供たちの声を
どうやって全国合唱コンクールで観客を涙させ、幸せにする歌声に変えたのか、、
そのやり方はサトケンさんの重ね煮と全く同じでした。


声は一人一人違います。同じソプラノ、同じアルトでも全然違う。
まずはそれぞれの声、自分の個性を潰さない。
大切に徹底的に磨き込みます。
そしてそれそれが磨き込んだ後、次はハーモニーの練習。

ソプラノの分量、アルト、テノール、歌によってそれぞれの必要人数も変わってきます。
綺麗なソプラノでもそればかり聞こえては、皆の音が壊れてしまう。
また、美しい花の精のような声をしっかりと守る大地や岩の声の大切さ。
私は合唱コンクールに何度となく通い、生徒たちの歌声にどれだけ感動して泣いたかわかりません。

まるで山や河、海、そよ風、小さな草花、大きな樹木、そして火、、。
合唱のハーモニーを聴いていると、いつも私の心にはそんな大自然のイメージが広がりました。

調和ということ、調和によって初めて生まれるエネルギーや美しさがあると感じていました。
単体のソプラノやテノールの歌をソロで聴くこともとても素晴らしい。
でも調和の作品は大変なエネルギーを持っています。
ひとりひとりが磨き込み、次にこんなに素晴らしいことができる。

そして皆で作り出す作品の一期一会の味わいはまさに即興のジャズと同じです。

瞬間的にその途方もない楽しさが腑におちました。
by Tukurokka | 2013-09-20 21:40